1983年にリリースされた薬師丸ひろ子の「探偵物語」は、シンガーとしての彼女の実力を証明し、映画『探偵物語』の主題歌として多くのファンを魅了しました。
一方で、この楽曲の作曲者である大瀧詠一も自身のアルバムでセルフカバーを行い、原曲とは異なるアプローチで楽曲の新たな魅力を引き出しています。
オリジナルの薬師丸ひろ子バージョンは彼女の透明感あふれる声と繊細な表現が特徴的で、一方の大瀧詠一のセルフカバーバージョンは彼の独特なボーカルスタイルとアレンジが印象的です。
このブログでは、二つの「探偵物語」を聴き比べ、その音楽的な違いとそれぞれの魅力に迫ります。
オリジナルとセルフカバー、二つのバージョンが描き出す「探偵物語」の深い世界を一緒に探ってみましょう。
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【楽曲情報】
リリース:1983年8月25日
レーベル:東芝EMI
作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:井上鑑
「探偵物語」のオリジナル曲は、1983年8月にリリースされ女優で歌手の薬師丸ひろ子が歌唱しました。
薬師丸ひろ子自身が出演した映画『探偵物語』の主題歌で、予約枚数だけで50万枚以上を記録し、「セーラー服と機関銃」に続いてオリコンチャート1位となりました。
週間チャートの順位は1位(7週連続)、年間チャートの順位は4位でした。累計では約84万枚を売り上げました。
当初、曲名はB面に収録された「すこしだけやさしく」が「探偵物語」として映画の主題歌に、「探偵物語」がカップリング曲「海のスケッチ」になる予定でしたが主題歌が変更されたそうです。
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【大瀧詠一バージョン】
大瀧詠一のセルフカバー「探偵物語」は、彼の独特な音楽スタイルが存分に発揮された一曲です。
薬師丸ひろ子によるオリジナルバージョンが映画のテーマソングとして、繊細で美しいボーカルを特徴としているのに対し、大瀧詠一のセルフカバーはその楽曲の骨格をさらに洗練させています。
彼のリラックスしたボーカルスタイルは、楽曲に一層の深みと落ち着きを与え、新たな発見をもたらします。
アレンジ面では、彼の特有のドリーミーなサウンドスケープとともに、オリジナルのメロディーを尊重しつつも独自の解釈を加えています。
これにより、「探偵物語」は単なるカバーではなく、新たな命が吹き込まれた再創造として楽しむことができます。
大瀧詠一のセルフカバーは、2016年3月にリリースされたセルフカバー・アルバム『DEBUT AGAIN』に収録されています。
大瀧詠一 探偵物語
【薬師丸ひろ子バージョン】
薬師丸ひろ子のオリジナル曲「探偵物語」は、彼女のキャリアにおいて重要な位置を占める名曲です。
1983年にリリースされたこの曲は、彼女主演の同名映画の主題歌として広く知られています。
松本隆、大瀧詠一らのコラボレーションが生み出す独特の世界観が見事に表現されています。
薬師丸ひろ子の伸びやかで澄んだ歌声が、メロディーの美しさと歌詞の物語性を引き立てており、聴く者の心に深く訴えかけます。
特に、彼女の声の透明感と純粋さは、楽曲のミステリアスでありながらもノスタルジックな雰囲気を際立たせています。
楽曲のアレンジは、大瀧詠一の特徴である洗練されたポップサウンドで彩られており、シンプルながらも印象的なリズムとメロディラインが一体となっています。
歌詞は、探偵を題材にしたロマンチックな物語が展開され、松本隆の詩的な表現が魅力です。
恋愛とミステリーが交錯する内容は、映画のテーマと見事にリンクしており、楽曲そのものが一つのドラマを構築しています。
薬師丸ひろ子の演技力と歌唱力が融合し、映画と楽曲が相互に補完し合う形で、リスナーに強い印象を残します。
のちに薬師丸ひろ子は2枚目のシングル曲「探偵物語」で松本隆と大瀧詠一に出会ったことで、歌うことやアルバム作りの楽しさを知り、「今後も俳優をしながら歌手として歌い続けたいと思った」「もし二人に出会っていなかったら、歌手との両立など考えずに、女優だけをしていたかもしれない」と話しています。
歌手・薬師丸ひろ子を紐解けば、「探偵物語」と曲との出合いがターニングポイントだったんですね。
薬師丸ひろ子 探偵物語